認知症の高齢者が自動車事故を起こす?ーー運転免許更新について

免許更新時の認知機能検査はどんなもの?

75歳以上のドライバーの運転免許更新に、昨年から認知機能検査が課されました。その結果、高齢者の運転免許返納や取り消し処分が増えています。でもひとくくりに認知症と言っても症状は様々だし、70から74歳までは高齢者講習だけだし、それ以下の年齢は従来の講習です。認知症って75歳以上だからなるわけじゃないですよね? そのこと自体が疑問だと、順天堂大学の新井平伊教授が7月10日の毎日新聞で語っています。

警視庁のサイトによると、75歳以上の免許更新時の認知症検査は、

①「時間の見当識」

②「手がかり再生」

③「時計描画」

の3つ。

①は「今の年月日と時間は?」というものです。年月日は毎日声に出して言っていれば軽くクリアできますね。現在の時間はちょっとだけ難易度高いけれど、時計を読むクセをつけていれば大丈夫。

そういえば幼稚園児~小学校低学年を教えていたときに、デジタル時計しか読めない子もいました・・・

②は、「この中に電気製品がありますね、それはなんですか」という問題。16種類もあるのだそうです。で、別の問題をやったあとに、さっき見た16つの絵を思い出すという、超イケズな検査ですね。

この時点でワタシの記憶力もあやしそうです(^^;)

長谷川式認知症スケール」にもこういう問題あります。覚えたあと、他の質問されて、そのあとに「さっき覚えたものを言ってください」って、ハードル高すぎ! あと、「知っている野菜をできるだけたくさん言ってください」って、オトコは厨房に入るべからずで育ったおとーさんは、野菜の名前なんて知らなかったですねー。

③時計が描けないのが認知症の特徴です。例えば「8時50分を描いてください」という問題がクリアできない。まず文字盤を描くところからダメなんですよ。

デジタルの時計しか知らない今の小さい子たちが高齢者になったときに、この問題はなくなるのかなー。

認知症だけが運転不適合ではない

さて、それらの試験をすると、「認知症の恐れ」(第1分類)、「認知機能低下の恐れ」(第2分類)、「問題なし」(第3分類)のいずれかに判定されます。第1分類と判定されると医師の診察を受け、「認知症」と診断されれば「免許取り消し・停止処分」です。

 警視庁の発表では、今年3月末までの1年間に検査を受けた約210万人のうち、5万7000人超が第1分類と判定され、最終的に「認知症」と診断されて免許取り消し・停止となったのは1892人。免許の自主返納も進んでいるそうです。

そこで新井教授が疑問視しているのが、”認知症を一括視している点。確かに注意力や判断力の低下は共通しており、事故のリスクは高いといえる。だが、認知症では原因疾患によって症状も異なり、さらにそれぞれ軽度から重度障害まで幅広い。記銘力(新しく体験したことを覚える能力)などの障害がみられても、安全に運転できる人がいる一方で、記銘力などに障害がなくても安全な運転が難しくなる人もいる。「認知症と診断された人」イコール「運転不適合な人」ではなく、認知症の有無で運転技能を判断するのは適切とはいいがたい”。

認知症が云々もそうですが、運転が危険なのは認知症だけではありませんよね。私がけっこう恐れているのが、サンデードライバーとか、ペーパードライバーが運転を再開したときです。

”一般の人が運転免許を取るには、「学科」と「実技」の試験にパスをする必要がある。警察庁と公安委員会は、なぜ長年培ってきた運転技能の評価法を放棄するのであろうか。75歳以上の人には認知機能検査に代えて、道路標識や車の構造に関する基礎知識を問う高齢者向けの学科試験を行うべきである。加えて、実車試験を導入し公安委員会が責任を持って運転技能を評価すべきだ。認知機能ではなく、運転技能と交通知識が評価されたのなら、いかなる結果でも本人は納得がいくであろう” と新井教授は言っていますが、高齢者だけに当てはまることじゃないと個人的には思います。

免許返納すれば問題は解決する?

それから、車がないと生活ができない環境を無視して、十把ひとからげに、「高齢者の運転は危ない、免許を返納しようキャンペーン」を展開しているのも解せないですね。タクシー券をもらても、必要なときにタクシーがない地域とか、市内何キロだけしか使えないとか。こういう不便なところだから、自家用車が必要なのです。

この記事の最後に新井先生が「改正道交法は高齢者の生活の質に直結する」と書いています。

ホントその通りで、車を取り上げられた利用者のおじさまたちが、精神的におかしくなって亡くなったケースを見てきました。高次脳機能障害の方々の運転とあわせて、「自由な外出」について何か支援ができなかったのかな、これから何ができるかな、と考え続けています。

補足:高齢者講習とは

70歳以上が受けなくてはいけない講習です。

座学、適性検査、運転講習を、指定自動車教習所というところで受けます。

前述の認知機能検査で「問題ない」人は2時間コース、「少し低くなっている」「低くなっている+診断書問題なし」は3時間コース。教習所の予約をとるのが大変らしく、何か月待ちだとか。我が父は、免許更新ギリギリに予約がとれたけれど、心配になって念のためにキャンセル待ちしたとか。ホントに80歳を超してるの??? と笑いました。

で、座学のあとの運転講習は、シミュレーターや実車の運転をします。どうせやるなら実車のドキドキ感を味わって欲しいですよね。ときどきコースにペットボトルが投げ込まれたり、人間が飛び出そうとしたり。一般道路と同じスリルに対処できるかを練習するというのはどうでしょう?

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