自宅でお風呂にはいるときの介助

お風呂に入らなくても清潔は保てるし、命に関わることでもないのです。

でも!

日本人はたいていの人がお風呂好き♪

あ、もちろん面倒だから好きではない人もいます。あと、お風呂は嫌いだけど不潔は嫌いだからシャワーはするよ、とか。

いま私たちが介護している方々は、多くが湯船に浸かるのが好き。特に麻痺の後遺症を持っていると、血行不良で冷たいからお湯に浸かって温めたいんだ、と言って施設で入って帰宅してから入って、なんて方もいます。

入所施設だとお風呂の回数が週2回とか決まっているので自由にはならないけれど、自宅で暮らす方々は自由です。

そんなお風呂ですが、高齢になると色々な事情で入るのが困難になってきます。今は自立支援とかいって、自宅で自分らしく生きるために、これができないと困るけれどできなくなっちゃった、ということを介護士がお手伝いすることになっています。例えばトイレ掃除するのにかがめなくなっちゃったのよ、とか、自分で運転して病院に行ってたのに運転できなくなっちゃった、とか。そのためのサービスが便利に利用できるようになっています。

そして入浴も、自宅で暮らす上で大事なこと。毎日、寝る前に湯船に浸かってほっこりしていた人が、足元不安で入れなくなっちゃったとか、最近おもらしすることが多くなって、お風呂で陰部を毎日洗わないと病気になる、とか。

シャワーなら一人でできる、と発想を転換するというか諦めるというか、最低限の清潔保持がかなうなら、これも自立しているといえますよね。

正直なところ、とあるサービス提供者たちはあまりそう思わないみたいで、デイサービスに行ってお風呂に入りましょう、と口を揃えて言いますね。まるでそれが殺し文句のように…

あ、ちょっと愚痴になっちゃいましたが (^_^;)、介護士はその入浴の介助にものすごく貢献しているわけです。

さて、どんな場面で介助が必要なのか、具体的にどう介助するのかを説明します。

すべての入浴介助に共通するポイント

  • 入浴する目的を確認する
  • 入浴前後の体調やバイタル(主に血圧や脈拍、体温)を確認する
  • これまでの入浴習慣を尊重する
  • その人の自尊心を傷つけない
  • 入浴後に水分補給を勧める
  • 湯温や転倒、貧血、溺水に注意する
  • 浴室と居室の温度差に気を配る
  • 相手の疾患を知り、適切な介助をする

自宅での入浴介助

住み慣れたわが家の、使い慣れたお風呂に入れなくなる理由の多くが、お風呂のヒヤリハットで今後の転倒が怖い、というもの。足が滑った、意識を失いかけた、知人がお風呂で亡くなった、などの理由を私は多く聞きました。

家族や介護士が見守れば今までのように入浴できるなら、ぜひ続けてもらいたいですね。

自立度が高い人の場合

転倒したときの助けがあれば安心して入浴できるので、見守りが介護士の仕事になります。浴室や浴槽に出入りするときの足元を確認したり、湯に浸かっているときにタイミングよく声かけしたり。時には背中を流すなど。

風呂上がりの体調確認や水分補給の促し、浴室と居室の温度差に気を配るのも介助者の役目です。

契約によってはお風呂掃除もあると思いますので、石鹸カスが残らないように洗い、風を通して浴室や使用物品を乾燥させます。

洗身や移動に介助が必要な場合

浴室内に手すりやシャワーチェアがあることが多いと思います。

まずは湯温を確認し、必要な物品を浴室に用意しておきましょう。

必要に応じてバイタルを測定し、健康面の確認をします。睡眠不足や食事直後、風邪などで足元不安定や浴槽内での不具合などの危険が高まることがあります。

その他、トイレや必要なことを済ませたら、居室と浴室内の温度を確認して、脱衣の介助をします。

服を脱ぐ

脱衣自立→見守ります。

麻痺がない場合→できないところを介助します。

認知症の方で全介助のときは安心して脱げるように声をかけながら行ないます。特に気をつけたいのが、汚れた紙パンツやバッドを捨てたがらない場合、強引に介護士が捨てるとトラブルになります。できるだけ自分から捨てるように仕向けるのもテクニックのうちです。たとえ自分で捨てても、納得できていない場合は後でこっそり拾って再使用していることがあります。

これは認知症の方に限ったことではないかも (^_^;)

麻痺がある場合→座って服を着脱することが多いです。

上衣を脱ぐ

まず上衣から脱ぎますが、健側(良い方)の袖から脱ぎます。ここはたいてい介助しますが、ご自分でする人もいます。本人が慣れていない場合は肩を下ろしてあげると比較的スムーズです。次に患側(悪い方)をご自分で脱いでもらいます。

かぶりものの場合は、背中をたぐってもらって首を抜き、健側の袖→患側の袖と脱ぎます。

寒くないか確認して、肩にタオルをかけるなど対応します。

麻痺しているから全部介助しないといけない、と思うかもしれませんが、意外と自分でできるものです。麻痺を負ってすぐは悲観的ですが、手本とあたたかい声かけと信頼関係で、見守り程度にまでなる人もたくさんいます。ただし麻痺の程度によります。

また、脱ぐときは基本的に健側→患側ですが、かぶりものの上衣の場合、首を抜いたあと、健の手で患側の袖を脱がせてから、健側の袖を振り落として脱ぐ人もいます。

介助をしていると、何通りもの方法を体験できて楽しいですね。自分のための参考にもなります。

下衣を脱ぐ

脱ぎ方は上衣と同じ。

ただし今度は立つ動作が入りますので、立ちくらみや立位時の不安定に気を配ります。しつこいくらいに気分を確認してもいいと思います。

それから、足がすべらないように気をつけましょう。靴下や濡れた床には要注意です。

麻痺のある方について、主に次の2パターンの介助を詳しく見ていきましょう。

立って脱ぐ

立位が安定している人向けです。

  1. ご自分でおろせるところまでズボン等を下げてもらっている間、介助者は身体を支えています。
  2. どこかにつかまってもらい、介助者が下衣を足首まで下ろす
  3. どちらの足から脱いでもいいけれど、健側の足を抜くときは患側の足に体重をのせるので、介助者は患側を支えつつ、下衣を抜き去る
  4. 気分を確認する。なんたって、これだけでも大仕事ですから・・・

座って脱ぐ

下衣をお尻の下までおろすときは立ちます。

  1. どこかにつかまって立ってもらう
  2. 介助者が身体を支えている間に下衣をお尻の下までおろしてもらうか、介助者がおろす
  3. また座るために介助し、安全な位置に座ったことを介助者は確認する
  4. 下衣をご自分で脱いでもらう。できなければ介助する

ここで、服を脱ぎっぱなしにするのはお行儀悪いので、まとめてもらうか簡単にたたんでもらいましょう。紙パンツやパッドは指示通りに処理します。汚れていたらご自分で捨ててもらいましょう。

介助者が片付ける場合は、必ず「たたんでおきますね」とか「洗濯機にぜんぶ入れておきますね」などと声かけすることを忘れずに。

いよいよ、お風呂場へ!

シツコイくらい言いますが、浴室と居室の温度差に気をつけましょう。

介助者は服を着ていますが、相手はハダカです。浴室が寒いと心臓に負担がかかって危険な人もいますからね。

もしも浴室が寒ければ、浴槽のフタをあけておくとか、もったいないけれどもシャワーでお湯を出して浴室を暖めるなど対処しましょう。

浴室の出入口は狭く、段になっているケースがほとんどです。

そして足を踏み入れた先は濡れています。

段をおりて足がタイルにすべらず接地し、浴室内の手すりまたは手がかりに確実につかまったことを確認しましょう。そのとき介助者は邪魔にならない位置にいながら、相手の腰を支えるとか、滑ったらいつでも抱えられる場所にいます。

麻痺のある方は装具を外して入ることが多いので、特に気をつけます。この場合、先に段を下りる足は健側です。

公共の浴場ではまず身体を洗いますが、ご自宅では先に湯船に入る人もいます。

洗身の介助

自立している人に対しては見守ります。浴室の外で待っているかどうかはその人によります。要望があったら手伝いましょう。

介助が必要な場合はシャワーチェアに座っていただき、髪の毛→顔→身体と、上から下に洗っていきます。

このとき、湯温に気をつけましょう。特にシャワーは最初に設定した温度が出ないことが多いですね。冷たかったり熱かったり、いきなり相手の身体にかけないで、シャワーのコックをひねったら介助者の手に当てて温度を確認します。

麻痺があっても、自分で洗えるところはたくさんあります。麻痺している手で洗うべき場所、たとえば健側の腕は手伝います。かなりの工夫と訓練をすれば不可能ではないと思いますが、自分で洗うには難しい箇所です。

もしも入浴動作にリハビリ計画があるなら、計画どおりに行ないます。本人の自立のためのリハビリ計画なのに、介助者が全介助してしまったら意味がなくなってしまいます。

もしも股を洗う介助時に立ち上がるなら、足元の石けんのヌルヌルを流してから立ち上がっていただきましょう。麻痺のある方は装具を外していますので、麻痺の足の底がねじれていないか、浮いていないかを確認してから立っていただきます。

湯船の出入りの介助

またげる人の場合は、足が浴槽のふちにひっかからないように見守り、状況により身体を支えたり足を介助します。

麻痺のある人はシャワーチェアや浴槽のふちなどに座ってから、片足ずつ浴槽に入れていきます。難しい介助ではないので、マスターしちゃいましょう!

基本的に、浴槽の出入りはいずれも「健側」の足から行ないます。

でも浴室の状態などでそれができない場合は、介助者が相手の重心を受け止めるなど身体を支えながら行ないます。

浴槽に入るとき

  1. 浴槽のふち(またはシャワーチェア)に座り、片足を入れ、身体を浴槽内に向ける
  2. もう片方の足を入れる
  3. 両足の底が着地しているのを確認し、手すりや浴槽のふちにつかまり、立ち上がってもらう。
  4. 座る方向に身体を向け、前かがみになりながらゆっくり座る。介助者は腰や麻痺側の膝などを支え、勢いよく座らないように、あるいは座った後すべらないようにする

浴槽から出るとき

  1. なるべく後ろにさがり、手すりや浴槽のふちにつかまり、健側の足をひいて膝を立てる。患側の足は足底をつける。膝が曲げて立てられるとベター。
  2. 健側の足に力を入れ、てすりをつかみながら前かがみに浮力を利用して立ち上がる。介助者はまず腰を上げる介助をし、立ち上がりかけたらすぐに患側の膝や身体を支える。
  3. 身体の方向を変えて浴槽のふちに座る
  4. 片足を浴槽の外に出す。先に出る足が患側の場合、介助者は身体を支えながら相手のふくらはぎや足首あたりに手を添えて、足を出す手伝いをする
  5. もう片方の足を出す。
  6. 両足底がきっちり床についているのを確認してから、立ってもらう

浴室は床がお湯や石けんで濡れているので滑りやすいーー誰でも知っていることです。健康でバランスの良い人には、足元が不安定なときの怖さが分からないものです。介助するときはぜひ想像力を働かせてくださいね。

あ、でもあまり神経質にならないで、相手ができることを奪わないようにしましょう。

あがったらーー

浴室から出るときは、もうシツコイと思われるでしょうけど、温度差に気をつけてくださいね。

濡れたままの身体はとにかく冷えます。邪魔にならないようにバスタオルを肩にかけるのもいい考えです。

服を着る

まずは、すぐにタオルで水分をふき取りましょう。濡れていると体温があっという間に奪われます。

服を着る前に髪の毛を乾かしたい人には、肩や下衣に乾いたタオルなどを掛けましょう。

そして、着衣は「服を脱ぐ」を逆にやれば良いだけです♪

ということは、麻痺のある方は、着るときは「患側」からです。

またかぶりものの上衣は、両手を通してから頭を入れる方が着やすいと思います。

ドライヤーで髪を乾かす

髪はぜひドライヤーで乾かしましょう。

熱風が直接当たらないようにします。介助者の手に当てるのがコツです。

保湿剤などをぬる

背中は介助しますが、その他はできるだけご自分でぬるように促してみてください。

薬や湿布について、家族以外の、例えば訪問介護ヘルパーなどが行なう場合、指示に従い、決められたものを決められた量だけぬる・貼ることができます。今日は別の薬をぬって欲しいなどの要望があっても、自己判断で行なうことはできません。必ず相談・報告します。

服を着たら

気分を確認しましょう。入浴は体力を消耗しますので、気持ちよくなると同時に疲れます。部屋までの移動に気を遣ったり、イスに座るまでの見守りは必要です。

また水分をぜひ勧めてください。体力と同時に水分も消費していますので、本人が飲みやすいものを用意します。トイレを気にして飲まない人がいますが、脱水症状が出ると大変です。上手に促しましょう。

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